令和5年4月1日から全国で新たに定期接種の対象とされたHPVワクチン・シルガード9についてかいていきたいと思います。
既存HPVワクチンのサーバリックス・ガーダシルと何が違うのか
まずは元々定期接種となっていたサーバリックスおよびガーダシルと何が違うのかという点です。
予防できるHPV(ヒトパピローマウイルス)の型の違い
サーバリックスはHPV型、16、18の2つを予防します。
ガーダシルはHPV型、16、18、6,11の4つを予防します。
シルガード9はHPV型、16,18、31、33、45、52、58、6、11の9つを予防します。
※日本では子宮頸がんから検出されるHPV型は16、18の2つで60%弱、次いで52、58の2つで15%弱、30、31の2つで10%強となっています。
接種回数の違い
サーバリックスとガーダシルは3回接種。
シルガード9は、一部年齢で2回接種が認められています。その他の年齢では3回接種です。
2回接種の対象となるのは、9歳から15歳未満の方で、それ以外の方は3回接種となります。
※2回接種対象年齢でも3回うつことは可能です。ただ2回接種と効果は変わらないとされています。また2回接種対象者で初回接種のあと5か月未満で2回目を接種した場合、3回接種が必要となります。これは2回目の接種で5か月以上あけないと抗体価がしっかりとあがらないからです。
接種間隔の違い
サーバリックスは、初回接種のあと1か月後に2回目を、そこから5か月後に3回目を接種します。
ガーダシルは、初回接種のあと2か月後に2回目を、そこから4か月後に3回目を接種します。
シルガード9は、15歳未満の場合、初回接種のあと6か月後に2回を接種します。
15歳以上の場合は、初回接種のあと2か月後に2回目を、そこから4か月後に3回目を接種します。(ガーダシルと同じ間隔)
副反応の違い
サーバリックスの副反応
本剤接種後7日間に症状調査日記に記載のある612例のうち、局所(注射部位)の特定した症状の副反応は、疼痛606例(99.0%)、発赤540例(88.2%)、腫脹482例(78.8%)であった。また、全身性の特定した症状の副反応は、疲労353例(57.7%)、筋痛277例(45.3%)、頭痛232例(37.9%)、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)151例(24.7%)、関節痛124例(20.3%)、発疹35例(5.7%)、発熱34例(5.6%)、蕁麻疹16例(2.6%)であった。
海外臨床試験において、本剤接種後7日間に症状調査日記に記載のある症例のうち、局所(注射部位)の特定した症状の副反応は7870例中、疼痛7103例(90.3%)、発赤3667例(46.6%)、腫脹3386例(43.0%)であった。また、全身性の特定した症状の副反応は、疲労、頭痛、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)、発熱、発疹で7871例中それぞれ2826例(35.9%)、2341例(29.7%)、1111例(14.1%)、556例(7.1%)、434例(5.5%)、筋痛、関節痛、蕁麻疹で7320例中それぞれ2563例(35.0%)、985例(13.5%)、226例(3.1%)であった。(サーバリックス添付文書より抜粋)
ガーダシルの副反応
接種後5日間に注射部位にて特定された症状の副反応は、457例中378例(84.4%)に認められ、主なものは疼痛372例(83.0%)、紅斑137例(30.6%)、腫脹95例(21.2%)および出血20例(4.5%)でした 。また、ガーダシル®接種後15日間に、全身性の副反応は457例中147例(32.8%)に認められ、主なものは頭痛79例(17.6%)および悪心20例(4.5%)でした(ガーダシル®承認時) 。
(MSDホームページより抜粋)
シルガード9の副反応
注射部位疼痛(89.8%)、注射部位腫脹(39.4%)、注射部位紅斑(33.7%)、頭痛(10%以上)、浮動性めまい、口腔咽頭痛、悪心、下痢、注射部位そう痒感、発熱、疲労、注射部位内出血、注射部位腫瘤(それぞれ1~10%未満)が認められています。(MSDホームページより抜粋)
※ガーダシルよりも若干副反応が多くなっています。
まとめ
今回定期接種化されたシルガード9は予防できるHPVの型が最も多く、また15歳未満では2回の接種で完了するので、こちらを選択する方が多くなるのではないでしょうか。
シルガード9の副反応は若干ガーダシルより高くなっているので、そのあたりでガーダシルを選択する方もおられるかもしれません。
いずれにしても子宮頸がんを予防するために大事なワクチンであることは間違いありません。
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