日本人なら日本酒を飲もう

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最近にわかにブーム(?)になっている日本酒。

日本酒といえば日本を代表するお酒。

最近では元プロサッカー選手の中田英寿さんや、堀江貴文さんがオリジナルの日本酒をプロデュースするなど日本酒の人気は少しずつ高まっているのではないでしょうか。

日本には全国に酒蔵があります。その数1400以上。そしてそこでつくられるお酒の銘柄数はなんと1万以上あるのだそうです。

自分の地元の酒を楽しむのもいいですが、各地のお酒を飲んでみて自分好みのものを探すのもまた楽しいもの。

そこで今回は日本酒に関していろいろな知識を深めてもらえるような記事を書いていきたいと思います。

日本酒の起源

日本に稲作が伝わったのが縄文時代(2000~3000年前)という説があります。その後弥生時代には全国に稲作が伝わったといわれています。そこから奈良時代になるまでの間に日本酒の起源があるようです。

日本酒は最初神や天皇にお供えするものだったようで、それを飲むことは厄を払うなど神聖な意味があったようです。

全国にある酒蔵

日本酒を作っている場所というと酒蔵。各県にはかならずある酒蔵。各地のスーパーなどに行くとその地方の酒蔵のカップ酒がかならず置いてあるのではないでしょうか。

先ほども書きましたが全国の酒蔵の数は1400以上。各地の酒蔵の分布は以下のようになっています。

都道府県酒蔵の数都道府県酒蔵の数都道府県酒蔵の数
北海道11山梨11岡山37
青森16富山19広島41
岩手20石川31山口40
宮城30福井22徳島19
秋田38岐阜40香川
山形51静岡26愛媛41
福島59愛知42高知18
茨城35三重29福岡56
栃木31滋賀38佐賀24
群馬25京都38長崎15
埼玉33大阪13熊本10
新潟89兵庫68大分27
長野75奈良28宮崎
千葉35和歌山19鹿児島
東京11鳥取18沖縄
神奈川12島根27
国税庁 「清酒製造業の概況(平成30年度調査分)」より

米所はもちろんのこと、水がおいしいと言われている県に酒蔵が多く分布しているといったところでしょうか。1400以上の酒蔵が存在していますが、徐々に数が減ってきているのが現状です。

酒をつくるお米

日本酒はお米から作られるということは知っていても、それがお酒を作るための酒米(さかまい)という、食用米とはまた別のものであることは知らない人も多いのでは。

酒米は、正式には「酒造好適米」といい、お酒造りに適した性質を持つお米の品種のことです。

現在日本全国で生産されているお米の種類が900種以上で、酒用の品種として栽培されているのがそのうちの13%もあるそうです。

※最近では食用米で醸す日本酒もあることはあります。

酒米とは。

酒米は食用米と比べて粒が大きいという特徴があります。

(粒が大きく穂の高さも高いので、穂が倒れやすく栽培が難しいのだそう。)

普通に炊いて食べるとパサパサしてあまりおいしくないのだそうです。

粒が大きいことで米の表面を削る「精米」を行う際に砕けにくいという特徴があります。

また心白(しんぱく)と呼ばれる、米の中心部に白く不透明に見える部分があるのも特徴。

酒米の種類

食用米にコシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなど種類があるように酒米にも種類があります。(100種類以上存在します。)

以下、品種と特徴。

山田錦(やまだにしき)

酒米の代表ともいえる品種。酒米の中でも最も生産量が多い。雑味が少ない酒になるということで、大吟醸などの高級酒造りに適している。

山田錦は2府30県で生産されています。その中でも兵庫県が最大の生産量を誇ります。

主な生産地:兵庫県

五百万石(ごひゃくまんごく)

主に新潟や北陸地方で栽培されている品種。山田錦に続き生産量は第二位です。

淡麗ですっきりした味わいになるといわれています。

主な生産地:新潟県

美山錦(みやまにしき)

比較的寒さに強く、北日本で多く栽培されている品種。生産量は第三位です。

五百万石と同じく淡麗ですっきりした味わいになるといわれています。

主な生産地:長野県

雄町(おまち)

酒米の品種の中でも古い品種。

生産量は第四位。今ある酒米の3分の2はこの雄町の系統を引き継いでいます。

独特のふくらみ、コクがあり余韻が長いお酒に仕上がると言われています。

また太くて厚い味わいになるとも言われています。

主な生産地:岡山県

出羽燦々(でわさんさん)

美山錦を母にもつ山形生まれの品種。

雑味が少なく香り豊かなお酒になるといわれています。

お主な生産地:山形県

日本酒を飲む際に酒米を意識して飲むことでまた楽しみが広がるのではないでしょうか。

酒米ごとの日本酒の味わいを感じて、お気に入りの酒米を見つけるのもまた楽しいですね。

お酒の作り方

次はその酒米を使ってどのように日本酒が作られているのかをみていきたいと思います。

精米

酒造りはまず精米からはじまります。米を表層部分を削る工程のことです。

なぜ精米が必要かというと、米の表層部にはでんぷん、タンパク質、ししつが含まれており、これらが日本酒を作る際の雑味になるからです。

精米には、精米器が使われます。

また高精白が要求されるので(縦型)研削式精米器というものが使われます。

精米器の金剛ロール(非常に固い素材)が回転して、そこに米が押しつけられることで精米されます。

量にも寄りますが精米は、2,3日日中夜続くこともあるそうです。

精米歩合

米をどれだけ精米(削った)したかを元の玄米に対する白米の重量割合で示したもの。

ラベルに表記されている、例えば精米歩合60%であれば、玄米を40%削って60%の白米を使用してあるということ。

大吟醸になると米を半分以上削ったものになります。

脂質が華やかな香りや、フルーティな香りを抑えると言われています。

ですので表層部を削り脂質を取り除くことであのすばらしい香りがうまれているのです。

逆に精米歩合が高いお酒はお米の旨味、コクがでるという特徴があります。

ですので、一概に精米歩合が低いものが良いものというわけではなく、味わいが違うので、それぞれ良さがあるのです。

精米歩合に応じて大吟醸や、吟醸、本醸造などにわけられます。以下がその一覧です。

精米歩合本醸造タイプ純米酒タイプ
50%以下大吟醸純米大吟醸
60%以下吟醸・特別本醸造純米吟醸・特別純米酒
70%以下本醸造純米酒
規定なし普通酒純米酒
精米歩合ごとのお酒の分類

本醸造タイプとは材料に米と米麹に加えて醸造アルコールが添加された日本酒のことをいいます。醸造アルコールは主にサトウキビを原料に作られます。醸造アルコールを加えることで日本酒の飲み口が軽くクリアになり、また香りをより引き出す効果もあります。

対して純米酒タイプは材料が米と米麹と水だけで作られたものになります。

基本的には普通酒や本醸造は比較的リーズナブルな価格で、吟醸、大吟醸になると値段が高くなるのが一般的です。また必ずしも「大吟醸だからおいしい」、「吟醸だからおいしい」や「本醸造だからおいしくない」ということはありません。銘柄によっては吟醸よりも本醸造の方がおいしいと言われる方もおられるので、精米歩合、値段に関わらず好みの問題が多分にあるのだと思います。

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洗米(せんまい)

まずは文字通り米を洗う洗米(=米研ぎ)。これは米についた糠(ぬか)をとるために行います。お家でご飯を炊くときと同じで、この作業で糠や汚れをとることがおいしい日本酒を作るには重要です。

さてこの洗米、すべて手作業で行う蔵もありますが、最近では洗米機という機械が使われる蔵も多いようです。

浸漬(しんせき)

米粒の芯まで水を適度に吸収させる工程のことです。

米粒の芯まで水を吸収させることで、蒸煮したときに蒸しあがった米にムラができないようにします。

洗米・浸漬の工程で20〜40%の水分を吸収します。

浸漬用の水の温度は10〜15℃が一般的。量は吸収率で表します。

吸収率(%)=(浸漬後の白米の重量kg一白米の重量kg)÷白米の重量kg×100

米にどれだけの水を吸わせるかによって、できあがりのお酒の味が違います。また米の品種、その日の外気温・湿度、求める味わいによって浸漬時間も変化させます。杜氏がそれらをすべて考慮して時間を決定します。

普通酒で1〜2時間ぐらい浸漬させます。

吟醸酒は粒が小さく吸収が早いので数分で終了するのだそう。日本酒の工程ひとつひとつが味を構成する大事な要素なのですね。

蒸米・放冷

浸漬して水を含ませた酒米を今度は蒸していきます。「炊く」のではなく「蒸す」のは、炊くと必要以上に水を吸いすぎるからです。

蒸すには甑(こしき)という大きなせいろか、蒸米機を使います。

酒米を蒸すのは酒米のでんぷんをアルファ化し、麹菌のつくる糖化酵素の作用を受けやすくするためです。また適度な水分量に調節することや殺菌効果もあります。

麹づくり

日本酒の元となる麹にする作業です。

実際には麹室(こうじむろ)という部屋に蒸した米を広げて、そこに麹菌をふりかけて繁殖させて増やします。この麹室は麹菌が繁殖しやすい35℃程度に保たれています。このように麹菌を増やしたもののことを麹とよびます。

またこの工程のことを「製麹(せいきく」とも呼びます。

麹はお米のデンプンをブドウ糖に変える働きをします。そしてこのブドウ糖がアルコール発酵することでお酒になります。つまり麹は日本酒作りには欠かせないものなのです。

酒母(しゅぼ)づくり

麹と水に酵母、蒸米、乳酸菌を加えて発酵させます。

酵母にはブドウ糖をアルコールに変える働きがあります。なので大量の酵母が必要になります。アルコール発酵させるために大量の酵母を作る作業がここになります。一般的には2週間から1か月程度で酒母が完成します。

酵母を大量に増殖させたもののことを日本酒の元となる酒の母、「酒母」と呼びます。

また酒母づくりの製法は以下のものがあります。

製法作り方酒母完成にかかる日数
生酛造り手作業で作る製法。乳酸菌も自然から取り入れる。昔ながらの製法。1か月程度
山廃仕込み生酛造りの製造工程のうち「山卸し」をしない製法。1か月程度
速醸造り人口の乳酸菌を入れるて酒母を作る製法15日程度
酒母の作り方の違いと呼び方

生酛造りでは米や米麹をすり潰し、溶かして液体にして乳酸菌が発生しやすい環境を作り、空気中の乳酸菌を取り入れ、増やしていきます。この米や米麹をすりつぶし、溶かして液体にする作業を「山卸し」と呼びます。

一般的に生酛造りでは「濃醇」な味わいに、速醸造りでは「淡麗」な味わいになると言われています。

また生酛と山廃では酒母の成分に違いはなかったという研究結果が1909年国立醸造研究所の実験でわかっています。ですが微生物が活動する環境は変わりますので微妙な味の違いにはなっているかもしれません。

もろみづくり・仕込み

酒母をタンクに入れ、麹、蒸米、水を加えて発酵させ、「もろみ」を作ります。

麹、酒米、水を入れる際は3回に分けていれます。このことを「三段仕込み」といいます。このときタンク内では麹菌がお米をブドウ糖に分解し、酒母(酵母)がブドウ糖をアルコールに分解するという2つの反応が同時に起こっています。これは日本酒独特の方法です。

およそ3週間から1か月程度発行させたものがもろみになります。

搾り・上槽(じょうそう)

もろみを搾る(濾す)作業です。搾ることで「日本酒」と「酒粕」にわかれます。搾り方にも方法があり、袋に入れて重力で搾る方法、自動圧搾濾過機という機械で搾る方法があります。最近では機械で搾る方法が主流なのだそうです。

搾る圧力やいつどのタイミングで搾るかによって日本酒の味わいに大きく違いがでると言われています。

濾過・火入れ

しぼったばかりの日本酒に含まれる米や酵母などの小さな固形物を取り除く作業が濾過です。固形物がある状態の日本酒は少し濁った状態で、濾過することで透明な日本酒に仕上げます。

濾過したあとに加熱処理である「火入れ」を行います。火入れすることで殺菌し、日本酒の腐敗を防ぐ目的があります。また濾過した日本酒にはまだ酵母が残っておりそのままだと発酵が進み味が変わってしまいます。味を変化させないためにも火入れして酵母の働きを止めることも目的です。

また直接火にかけるのではなく、湯煎のようにして60℃から65℃で低温殺菌しています。

貯蔵

火入れした日本酒を熟成させるために貯蔵します。熟成することでまろやかで飲みやすくなります。約半年から1年程度タンクの中で貯蔵します。

また貯蔵せずに出荷する「生酒」もあります。一般的には貯蔵されたものが出荷されます。

調合・瓶詰

熟成した日本酒を別のタンクのものとブレンドしたり、加水(割水)したりする工程です。ブレンドするのはタンクごとに微妙に味わいが異なるからなのだそうです。同じ作り方をしていても味違うのだそう。また味の微妙な調節のために加水も行ったりして最終的な味を決定していきます。

そして調合した日本酒に再度火入れをし安定させてから瓶詰します。瓶詰の際も味が変わらないように温度管理を徹底しています。そして検品し出荷されます。

まとめ

以上、日本酒についてでした。日本を代表するお酒ですが、酒蔵やお米の種類など知らないことばかりだった方も多いのでは。また作り方もかなり手間がかかっていることもご理解いただけたのでは。それらを踏まえて飲んでみる日本酒はさらにおいしく感じるのではないでしょうか。1万以上もの銘柄のある日本酒の中であなたのお気に入りの1本を探してみてはいかがでしょうか。

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