【診療報酬改定2022】診療所・クリニックでもとれる加算、「サーベイランス強化加算」とは。施設基準と算定方法。

医療・薬・健康

今回の診療報酬改定で新たに加算が新設されました。こちらも診療所の感染防止対策や、地域での連携、外来診療の外来感染防止対策を評価するものとなっています。

サーベイランス強化加算概要

サーベイランス強化加算  1点(患者1人につき月1回)

施設基準
  1. 外来感染対策向上加算に係る届け出をしていること。
  2. 院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加していること。

※外来感染対策向上加算を算定していることが条件なので、単独で届け出、算定することはできません。

そもそもサーベイランスとは

ではサーベイランスとは、どういう意味かですが、辞書で調べてみると、

サーベイランス(surveillance)eillance) = 監視

監視や見張り、監視制度のことを言うそうです。また「 感染症・環境汚染・経済などの動向について専門機関が調査・監視を行うこと」と記載された辞書もあります。

つまりここでいうサーベイランスとは、感染症の発生状況を持続的に収集・分析し、得た情報を疾病の予防と対策に活用するといったことです。

各医療機関は院内感染の状況や薬剤耐性菌の状況など専門機関に報告し、専門機関が集約し分析する流れとなっています。

ここでJANISやJ-SIPHEというのが集めた情報を分析する専門機関となっています。今回のサーベイランス強化加算ではそれらへの参加が施設基準となっていますので、参加申し込みが必要になります。

では詳しく見ていきます。

院内感染対策サーベイランス(JANIS)

JANISは、「Japan Nosocomial Infections Surveillance」の略です。厚生労働省が2000年7月にスタートした事業です。現在全国で2473施設が参加しています。(2022年1月現在)

概要

院内感染対策サーベイランス(JANIS)は、参加医療機関における院内感染の発生状況や、薬剤耐性菌の分離状況および薬剤耐性菌による感染症の発生状況を調査し、我が国の院内感染の概況を把握し医療現場への院内感染対策に有用な情報の還元等を行うことを目的としています。平成12年7月より開始された当サーベイランスは、平成19年7月より参加医療機関にとって実用的かつ効率的なサーベイランスを目指したシステムに更新をしております。

JANISホームページより引用

JANISホームページはこちら↓

厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業
厚生労働省院感染対策サーベイランスJANISは、参加医療機関の院内感染対策における薬剤耐性菌の感染発生動向調査、対策支援・助成、細菌検出状況や薬剤感受性パターンの動向把握、新規耐性菌早期発見などを目的としています。
参加方法

参加するには申込書を作成し提出する必要があります。下記リンクより申込書作成ページにとびます。

参加申込書作成フォーム

申込書提出先

JANISホームページでは、「各都道府県、保健所設置市、特別衛生主管部局宛に簡易書留等で郵送」となっており都道府県ごとで送付場所が異なります。保健所や厚生センター、県庁医務課などが提出先となっているようですので、提出先を確認する必要があります。

算定にあたって

JANISには部門がいくつかあり、そのうちの「検査部門」は必ず参加している必要があります。

感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)

こちらは薬剤耐性(AMR)対策を推進するための事業、機関です。こちらも厚生労働省の委託事業として2017年4月に設立されたもの。

トップページ
AMR(薬剤耐性)関連のデータを集約し、医療機関や地域ネットワークで活用する感染対策連携共通プラットフォーム
背景と目的

2015年に世界保健機関(WHO)総会にて薬剤耐性(AMR)に関するグローバルアクションプランが採択され、加盟国は自国の行動計画を策定するように要請されました。

それを受けた日本政府は 2016 年に AMR 対策アクションプランを策定しました。AMR 対策アクションプランでは普及啓発・教育、動向調査・監視(薬剤耐性や抗微生物剤の使用量)、感染予防・管理 、抗微生物剤の適正使用等の各分野に関し取り組みが求められています。感染予防・管理に関しては、医療・介護における感染予防・管理と地域連携の推進も掲げられています。

このような背景を受け、厚生労働省委託事業AMR臨床リファレンスセンターが主体となり、医療機関でのAMR対策に活用できるシステムJ-SIPHE(Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology:感染対策連携共通プラットフォーム)(以下「本システム」という)が稼働・運用されることになりました。

本システムは、全国の医療機関における感染症診療状況、感染対策への取り組みや構造、医療関連感染の発生状況、主要な細菌や薬剤耐性菌の発生状況及びそれらによる血流感染の発生状況、抗菌薬の使用状況等に関する情報を集約させ、さらに、それらを参加医療機関や参加医療機関の地域等が活用していくことを目的とするものです。また、データの集約による日本のNational data baseの構築としての役割も担っています。

J-SHIPEホームページより引用
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参加方法

ホームページ上にある申請書を作成後、WEBフォームで申し込みとなります。

ここでポイントなのが、J-SHIPEへの参加は感染対策向上加算1を算定する医療機関は単独で参加申し込みが可能ですが、加算2、加算3、加算なしの医療機関は単独での参加申し込みができないということ。

連携する加算1を算定する医療機関からの招待が必要です。そこから送られるメールについて招待コードを申し込み時に入力する必要があります。

ですのでもし参加したいということであれば、近隣の加算1を算定している医療機関にその旨を伝え、招待コードの送付、連携をする必要があります。

J-SIPHE参加方法

サーベイランス強化加算届け出様式・疑義解釈

届け出様式

届け出には以下の2つの書類提出が必要です。

疑義解釈資料については以下からどうぞ↓

疑義解釈

いつ時点から算定可能か。

疑義解釈にて、算定時期について次のように書かれています。

サーベイランス強化加算については、保険医療機関が新たにJANIS又はJ-SIPHEに参加する場合、令和5年3月31日までの間に限り、JANIS又はJ-SIPHEの参加申込書を窓口に提出した時点から当該要件を満たすものとして差し支えない。この場合、サーベイランス強化加算の施設基準の届出を行う際に、当該参加申込書の写しを添付すること。
なお、参加医療機関から脱退した場合は、速やかにサーベイランス強化加算の届出を取り下げること。

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