新型コロナウイルス感染がなかなか収まらない今、ワクチンは新たに2種類の株を追加したものが投入されました。
元々の株(起源株)と最近流行しているオミクロン株のBA.1もしくはBA.4-5を追加したワクチンが2022年10月現在接種に使われています。
自治体によってBA.1株を使っていたり、BA.4-5株を使っていたりします。まだBA.1を摂取している自治体の住民の方からすると気になるのがBA.4-5をうった方が良いのでは?、いまさらBA.1をうっても意味がないのでは?という点。
そこでBA.1についてどれほど効果があるのかをみていきたいと思います。
コミナティRTUとは
日本で初めに接種が開始されたのがビオンテック・ファイザー社のコロナワクチン『コミナティ』です。これはコロナの起源株のみが入ったワクチンです。つぎにオミクロン株に対応した2価ワクチンは『コミナティRTU』という名前がつけられています。
コミナティRTUにはオミクロン株BA.1という型が入ったものと、BA.4-5が入ったものの2種類あります。どちらもコミナティRTUの名で供給されています。
またコミナティRTUは初回免疫(1回目、2回目)接種には使えません。
3回目以降の接種にのみ承認されています。
効果
BA.1株
当然ながら起源株のみのワクチンよりもオミクロン株BA.1に対しての抗体価が上がることが示されており、オミクロン株に対しての感染、重症化予防効果は認められています。
またPMDAでは以下のようにも述べています。
探索的な検討ではあるものの、オミクロン株のBA.4/BA.5系統に対しても一定の免疫応答が認められていることを確認した。
厚生労働省資料より(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000989815.pdf)
つまりBA.1株の投与によりBA4-5に対しても予防効果が確認できているということです。
それを証明しているのが以下のデータです。ワクチン接種1か月後の抗体価を見たデータです。
※正直詳しい見方はわかりませんが、GMT(変異株幾何平均抗体価)がBA4-5についても上がっているということのようです。
いずれにしてもオミクロン株BA.1に対しては当然しっかりとした効果があり、またオミクロンの他の株に対しても一定の効果があるので、BA.1を接種している地区の住民の方もBA.4-5の接種を待たずに早めにBA.1株ワクチンを接種することがコロナ予防には重要です。
副反応の違い
気になる副反応は3種類のワクチンで違うのか。
添付文書で副反応の部分を確認すると、
こちらはRTUの方の添付文書ですが、RTU(BA.1)およびRTU(BA.4-5)、そして起源株単体の添付文書上の副反応の症状、発生率などすべて同じになっています。おそらくRTU単独での試験は行っていないのかもしれません。
海外第三相試験のデータでコミナティとコミナティRTU(BA.1株)の副反応を比較したデータがファイザー社のコミナティRTUのページにありました。
これを見ると若干頭痛や疲労感、筋肉痛などが多いようですが、全体的にはほとんど変わらない副反応の確率となっていることがわかります。
厚生労働省もPMDAの審査報告書から従来型(1価ワクチン:起源株)と副反応はおおむね同等と発表しています。
海外での状況
アメリカでは8月31日にコミナティRTU(起源株+BA.4-5株)が認可されたばかり。欧州でも9月15日に認可されたばかり。
コミナティRTU(起源株+BA.4-5株)の臨床試験も8月に始めたばかりなので現時点で効果、副反応などのデータがそろっていないのが現状。
コミナティRTU(BA.4-5株)についての話
BA.4-5についてですが非臨床データに関する見解が載っていたので掲載しておきます。
非臨床データ
(非臨床データ)
○ ファイザー社はマウスを用いて、1 価(起源株)ワクチンを2 回接種した後に、各種 1 価又は 2 価ワクチンを追加接種する非臨床試験を実施した。追加接種で 2 価(起源株/オミクロン株 BA.4-5)ワクチンを投与したマウスでは、起源株、デルタ株及びオミクロン株(BA.1、BA.2、BA.2.12.1 及び BA.4/BA.5)に対して幅広い中和抗体の誘導が認められた。
出典:厚生労働省・第38回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会、資料2
こちらの試験によるとBA.4-5ワクチン投与でBA.1,2にも効果があることが示されています。
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