2022年1月に日本で新たな片頭痛治療薬(経口薬)として「レイボー錠50mg/100mg」が製造承認されました。
このレイボー錠は、5-HT1F(セロトニン1F)受容体に選択的に結合する世界初の薬剤です。
商品名:レイボー錠50mg、100mg
一般名:ラスミジタンコハク酸塩
このお薬は、予防的に服用するものではなく、発作時に服用するお薬です。
この度、令和4年6月8日に発売されました。
↓片頭痛の予防的に使う新しいお薬はこちらに掲載しておりますのでよろしければ読んでみてください。
作用機序
片頭痛の病態には、中枢での疼痛シグナル伝達、及び末梢での三叉神経系の過活動が関係しており、セロトニン1F受容体が視床、大脳皮質、三叉神経系の神経細胞やシナプスに発現していることから、セロトニン1F受容体の片頭痛の病態への関連性が指摘されてきました1)。本剤は、血液脳関門通過性を有し、セロトニン1F受容体に選択的に結合することにより、中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わる神経伝達物質[カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やグルタミン酸など]の放出を抑制することで、片頭痛発作に対する作用を示すことが期待されています。
日本イーライリリー㈱プレスリリーから引用
世界初のジタン系薬剤で、アメリカでは2019年11月に承認されており、すでに患者さんのもとにとどけられているそうです。
トリプタン系との違い
同じく片頭痛治療で使われるトリプタン系の薬剤(マクサルト、ゾーミッグなど)も同じくセロトニン受容体に結合する薬剤です。レイボー錠とは結合するセロトニン受容体の種類が違います。トリプタン系はセロトニン受容体の1Bと1Eに結合して効果を発揮します。
効果
日本人での臨床試験としてMONONOFU試験が実施されています。こちらは主要評価項目が服用2時間後の頭痛消失です。結果は、頭痛消失、頭痛改善においてはレイボー錠200mgで服用30分後から、100mgでは服用1時間後からプラセボ群との間に有意差が認められました。
また随伴症状に関しては服用2時間後までに約6割で消失し、100mg、200mg群においてプラセボ群との間に有意差が認められています。
服用2時間後に日常生活への支障が認められなかった患者割合は、200mg群とプラセボ群の間に有意差が認められました。
安全性
MONONOFU試験では副作用発現率はプラセボ群で14.5%、レイボー錠50mg群で47.1%、レイボー錠100mg群で64.4%、レイボー錠200mg群で80.2%でした。
主な副作用(5%以上発現したもの)は浮動性めまい、傾眠、倦怠感、無力症、感覚鈍麻、悪心でした。
長期の安全性は
レイボー錠を最長16か月間投与した試験(GLADIATOR(LAHL)試験及びCENTURION(LAIJ)試験)において発現割合が高くなったり、重症度が高くなった有害事象はありません。
高齢者に使えるか
添付文書上には高齢者への投与に制限はありません。また用量調節も必要ありません。
腎障害患者さんに使えるか
添付文書上には腎障害患者さんへの投与に制限はありません。また用量調節も必要ありません。
ドラッグインフォメーション
効能効果
片頭痛
用法用量
通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgを投与することができる。
頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できる。
併用注意
- 中枢神経抑制剤
- アルコール
- 心拍数を減少させる薬剤
- プロプラノロール(先発品名:インデラル)
- セロトニン作動薬
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)・・・フルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン塩酸塩(パキシル)、塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタプラムシュウ酸塩(レクサプロ)
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)・・ミルナシプラン酸塩(トレドミン)、デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)、ベンラファキシン塩酸塩(イフェクサー)
- 三環系抗うつ剤等
- MAO阻害剤・・・セレギリン塩酸塩(エフピー)
薬価
50mg1錠 = \324.70
100mg1錠 = \570.90
包装
レイボー錠50mg 30錠[10錠(PTP) ×3]
レイボー錠100mg 30錠[10錠(PTP) ×3]
製造販売元
製造販売元:日本イーライリリー㈱
販売元:第一三共㈱
読んでいただきありがとうございました。
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