アニサキスアレルギーの症状と予防。

医療・薬・健康

みなさんアニサキスアレルギーってご存じでしょうか。アニサキス症はご存知な方も多いと思いますが、アニサキスアレルギーは聞いたことがない方が多いと思います。

他の食物アレルギーと同じくアニサキスアレルギーというものが存在するわけですが、アニサキスアレルギーは一度なってしまうと魚だけにとどまらず魚から出しをとったもの、かつお節なんかでもアレルギー反応を起こしてしまうため和食のほとんどが食べられなくなってしまうおそろしいアレルギーなのです。

そして近頃このアニサキスアレルギーを発症する日本人が多いのだそうです。

元来、刺身やお寿司などで生魚を食べる機会も多い日本人

アニサキスとアニサキス症

そもそもアニサキスとは、魚介類に寄生するアニサキス亜科に属する線虫の総称のことです。体長は2~3cm、幅0.5mm~1mmぐらい。アニサキスははじめは魚の内臓に寄生していますが、宿主が死亡し鮮度が落ちてくると内臓から筋肉へ移動します。

アニサキスが寄生する魚介類は我々が住む日本近海でとれる魚の160種以上におよぶと言われています。またその中でもサバが最も感染源としては多く、アジやイワシ、イカ、サンマも感染源になる機会の多い魚です。

アニサキス症とは、このアニサキスが寄生した魚介類を食べることでアニサキスが体内に侵入し、胃の壁などに食いつくことで症状を引き起こすものです。

症状

アニサキス症の症状は、魚の生食後数時間で、激しい上腹部痛、悪心、嘔吐が起こります。食いついたことが原因ではなく、食いつかれた場所とそのまわりがアレルギー反応を起こすことで痛みなどが生じるのです。

治療

今のところアニサキスを死滅させる薬は開発されておらず、胃の場合は内視鏡でアニサキスそのものを取り除くことが唯一の治療法といえます。しかし腸にアニサキスが寄生した場合は取り除くことが難しいのでステロイドや抗炎症薬で症状をやわらげる治療を行います。

またアニサキスは人の体内では数日しか生きられないので症状は自然に改善します。

予防

アニサキス症を防ぐには、なるべく生の魚を食べないということに越したことはありません。またよく噛んで食べることで物理的にアニサキスを死滅させるというのも手かもしれません。

また加熱と冷凍でもアニサキスを死滅させることができます。

その際は、

  • 60℃で1分以上中心部を加熱する
  • 70℃以上に加熱(瞬時に死滅する)
  • -20℃で7日間冷凍
  • -35℃で15時間以上冷凍

以上が効果的と言われています。

アニサキスアレルギー

これに対しアニサキスアレルギーとはアニサキスを抗原(アレルゲン)として生じるアレルギーのこと。

このアニサキスアレルギーの厄介なところが、

生きたアニサキスを体内に取り込むことでアレルギー反応が起こるのは当然のこと、アニサキスが死んだ状態で摂取してもアレルギー反応が起こってしまうのです。

また人によっては魚のエキスや出汁が使われた料理を食べるだけで症状が出てしまうという方もおられるおそろしいアレルギーです。和食の多くに魚の出汁を効かせたものがあるので注意が必要になります。

日本は生の魚介類を摂取する機会が非常に多い国なので、アニサキスアレルギーの発症頻度も諸外国と比べて多くなっています。

症状

他の食物アレルギーと同様、悪心・嘔吐・腹痛などの消化器症状から、蕁麻疹・喘息、アナフィラキシーが起こることや、重症例も報告されています。

予防

抗アレルギー薬などの服用で症状を緩和することは可能です。

魚介類を食事で摂取するのを避けるしかありません。またアニサキスのアレルゲンは熱に強いものも存在しているので加熱したものでも生食同様リスクがあります。

アニサキスの寄生していない魚を選択して食べるという方法もありますが、普通の人が見分けるのは至難の業ではなので広く摂取を控えるのが現状です。

どうしても魚が食べたいという場合は下記の寄生しやすい魚を避けるのが賢明です。

アニサキスが寄生しやすい魚・・・サバ、イカ、アジ、サンマ、イワシ、サケなど

アニサキスが寄生しにくい魚・・・養殖の魚や川魚

アニサキス症よりも怖いアニサキスアレルギー

おわかりいただけたでしょうか。

近年アニサキスアレルギーを発症する方が増えていると聞きます。食生活について少し考えさせられますね。

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